ど~もeagle0wlです(再)

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Engrishな和製ゲームを紹介した『This be book bad translation, video game!』を入手した

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ビデオゲームの歴史におけるEngrishな和製ゲームを紹介した『This be book bad translation, video game!』を入手、読了した。
This be book bad translation, video games!www.fangamer.com
jp.automaton.am

同書籍を作成したのは、ゲームの翻訳に関する海外サイト「Legends of Localization」のチームだ。同書籍では1970年代から今日までのビデオゲームの悪訳が集められており、全64ページに99枚のスクリーンショットが掲載されている。運営チームの設立者Toma氏はTwitter上でこの書籍に関し、単純に有名な悪訳を載せただけではないと説明。初期のゲーム開発では翻訳に予算が回されなかった時代背景から、近年散見されるようになった機械翻訳まで、誤った翻訳を歴史ごとに追っていく年代記になっていると伝えている。

本の概要やサンプルはAUTOMATONの記事を見て欲しい。ただし、今のところ入手経路がFangamerのみで、そもそも洋書である。AUTOMATONでは触れられていない、筆者が知る限りの背景情報を記してから本論に入りたい。

本書の背景

本書を執筆した「Legends of Localization」の設立者であるClyde Mandelin(Tomato)は、日本語コンテンツの翻訳を行っている(日本語検定1級を持っており、我々より正しい日本語を使います)。プロフを見ると、日本のアニメ作品を北米で配信しているFUNimation(シン・ゴジラを北米で配給したのもここ)で翻訳業を行っているようだ。糸井重里が監修したロールプレイングゲーム『MOTHERシリーズ』(北米タイトル:Earthbound)の熱烈なファンであり、未だに日本語化されていない『MOTHER3』の非公式英語化パッチの制作にも関わっており、MOTHERシリーズのニュースサイトである「EarthBound Central」の管理人でもある。
earthboundcentral.com

本書を販売しているサイトFangamerの代表で、本書のアシスタントディレクターであるReid Young(Reidman)は、MOTHERシリーズの大ファンで、最大規模のファンサイトstarmen.netの設立者である。
jp.fangamer.com
STARMEN.NET - EarthBound / Mother 3 Goodness.

北米ではMOTHER2(EarthBound)しか発売されなかったにも関わらず、地道な活動を続け、ニコ生放送で糸井重里本人から「スターマンクラブ」と間違って呼ばれてしまい、ニコ生のコメントで訂正される一コマがあり、なんと糸井氏からわざと「STARMAN CLUB」と書いたサインを送られるという事態に発展。
www.youtube.com
earthboundcentral.com

さらにその後来日し、糸井氏との面会まで果たしてしまう。
gigazine.net

初代MOTHERの北米版(開発ROMは流出している)もWiiU版でようやく『MOTHER Beginnings』として正式に配信された。残るはMOTHER3なだけだが、MOTHER3の英語版が正式にリリースされたら目標喪失状態に陥るのでは? と勝手に心配している。余計なお世話か。余談だが、先月発売を発表したニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」の北米版にはMOTHER2の収録がアナウンスされているのに、日本版のリストにはないことが話題となった。任天堂は回答していないが、筆者は「北米では発売当時はワゴン、後年評価されてカートリッジの価格が高騰している」ことと、「starmen.netを中心とするファンコミュニティの熱心な活動」が少なからず影響していると考えている。
nlab.itmedia.co.jp
彼らは3.11の時もすぐさまチャリティゲームマラソンを行なっていたし、日本のゲームセンターに一時期投入されていたどせいさんのぬいぐるみ(もちろん国内限定)を大量に捕獲して、彼のチャリティを盛り上げるために大量に寄付したりと(返礼としてFangamerが取り扱う大量のグッズを戴いた)やり取りを重ねているので、Fangamer含めて信頼できる人である(注:本書は普通に買った)。

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『平成6・7年度 ハドソンコンピュータデザインスクール 卒業制作 最終号』を入手した

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※2017/06/28追記 一部画像を修正しました。
※2017/06/29追記 CD-ROM2およびCD-Rの寿命について追記しました。

はじめに

PCエンジン SUPER CD-ROM2 用の非売品タイトル『平成6・7年度 ハドソンコンピュータデザインスクール 卒業制作 最終号』(以下、HCDS1995)を入手した。これは、今は無きハドソンが行なっていたゲーム学校「ハドソンコンピュータデザインスクール(HCDS)」の卒業作品を収めたCD-ROMである。当時の関係者から譲ってもらったものだが、卒業アルバムでもあるため住所録がある。面倒事は御免なので、事前に住所録のページだけ抜いてもらった(ホチキス止めだったので容易だった)。したがって、手元にあるのは厳密には「完品」ではない。

平成3・4・5年度版の存在は既に明らかになっているが、今回入手した『平成6・7年度(最終号)』の存在がウェブ上に上がるのは本記事が初めてだと思う。この最終号の冊子にはHCDSの年表が記されており、これを読むとHCDSは平成3年度から7年度まで毎年行われていたことがわかった(1年制だが平成6年度のみ2年制)。よって、本作を持ってネット上で全ての年度版が確認されたことになる。

平成3年度版(1991年)

Hardcore Gaming 101: Heisei 3rd Year (1991) Hudson Computer Designers School Graduation Album

上記記事を元にしたGigazineのイタコ訳
gigazine.net

平成4年度版(1992年)

PCエンジンの幻級ソフト『ハドソンコンピュータデザイナーズスクール 卒業記念アルバム』が50万円で落札される!!
famicoroti.blog81.fc2.com

平成5年度版(1993年)

murakun5555.at.webry.info

平成6・7年度版(1994年、1995年)

このエントリ
※平成6年度のみ2年制、7年度は1年制だが、このエントリでも紹介する卒業アルバムは6・7年合わせて1つである。

ブログ『ファミコンのネタ!!』によると、平成4年度版がヤフオクに出品され、なんと50万7000円で落札されたようである。50マンって。その50マンの内容は、学生が作った製品未満のゲームっぽい何かですよ? 完全にコレクターズアイテムというか、レアリティで取引されている。レトロゲームあるあるだが…。

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『ハッカーの学校 ハッキング実験室』を読んだ

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データハウス様から本書をいただいてから2ヶ月弱も経ったが、『ハッカーの学校 ハッキング実験室』(黒林檎著・データハウス)を読んだ。

ハッカーの学校 ハッキング実験室

ハッカーの学校 ハッキング実験室

タイトルや装丁を見る限り、いわゆるIPUSIRON3部作『ハッカーの学校』『個人情報調査の教科書』『鍵開けの教科書』に続くシリーズっぽいが、本作は別の著者である。

ハッカーの学校

ハッカーの学校

ハッカーの学校 個人情報調査の教科書

ハッカーの学校 個人情報調査の教科書

ハッカーの学校 鍵開けの教科書

ハッカーの学校 鍵開けの教科書

いぷろん本は、様々な書籍からの「メモサイト」であるSecurity Akademeiaに立脚した構成である。とはいえ、コピペブログの安易なそれとは違い、膨大な読書量でないとこの文章量と密度は出せない。本書は著者が違っており、プログラムとソースコードの解説が主体となっている。したがって、『ハッカーの学校』を冠しているが構成や文体は全く異なる。

いきなり比較から入ってしまい申し訳ないが本題に入る。

本書はPythonを習得していることを前提としている。Twitterのアカウントを自動取得するbotの開発に始まり、TwitterのDM機能を利用したC&Cサーバの実装まで行っている。言うまでもないが悪用可能な技術である。Twitterに限らず、フォロワー数やいいね、再生回数のようなカウントはお金で買うことができる。これらは自動取得されたアカウントによって「自作自演」されている。C&Cサーバについては言うまでもない。実装自体はシンプルなので、そのまま悪用を考えてもすぐバレて終わりだと思うが、ここから「自分ならどう工夫するか」を考える余地、という行間の面白さが本書にはある。本気で悪いことを考えようとしているのであれば当然の発想なのだが、だからといって気を利かせて本文中で無闇に勧めたりしてしまうと有害図書まっしぐらである。このバランスは難しい。

Pythonで通信プログラムを書いた経験があれば本書の内容は理解できるはずである。ただしロジックの説明が弱いと感じた。レイアウトの制約が厳しい紙の上で、わかりやすく説明するのは非常に難しいことだが、コードが読めないと難儀するかもしれない。繰り返しになるが、本書はプログラムとソースコードの解説が主体である。タイトルが示す「実験室」は、前3作との違いを明確に表現している。しかし、ソースコードは紙に印刷されたもののみなのが辛い。暗号が武器とみなされこのままでは輸出規制に引っかかるため、ソースコードを書籍にして言論・出版の自由を盾にして国外に合法的に流通させたPGPのように、大人の事情なののだろう。

この著者は学生の頃に書いたそうだ。自分が初めて書いた原稿も学生時代だが、今日に至ってもまだ共著で出したことしかない。単著で書ききるのはとてもとても大変なことである。ましてや、学生だと引き出しも限られるのでさぞかし大変だったと思う。SNSが普及した今となっては誰もが「作文」しているが、単に書くだけでは作文技術は磨かれない。ウェブに上げる文章よりも、書籍として出る文章の品質はずっと管理されるべきと思うので、身構え方も異なると思う。自分は原稿を初めて書くことになって慌てて『日本語の作文技術』と『理科系の作文技術』(どちらも名著)を読んだ。こういう体たらくなので『クラッカー・プログラム大全』の自分の文章は今見るとひどすぎて読み返したくない。本書の著者もそういう取り繕いをやっているのではないかと想像すると、これはこれで面白い。自分も頑張らないとね。

理科系の作文技術(リフロー版) (中公新書)

理科系の作文技術(リフロー版) (中公新書)

GAMERnium版kazzoクローンをWindows10で動作させる&本体のレトロブライト化

秋葉原ラジオセンター内の『家電のケンちゃん』(危なっかしい名前だ)のジャンク市を覗いてみた。ここはFM音源ガチャなど奇抜な企画が見られ、ガチャで入手したFMサウンドチップを実際に動作させている人もいる。
togetter.com

FM音源は全く触れたことがなく、メガドラではなくスーファミ派だったし、PC-98も86ボードを持っておらずBeep音しか知らないので、PSGからPCMに一足飛びである。FM音源のチューニングとか超難しいと聞いている。
www.nintendo.co.jp

肝心のジャンク市は刺さるものが見つからなかった。坊主で帰るのもアレと思い、同人ハードウェアに手を出してみることにした。kazzo互換機って言って分かるだろうか。ファミコンのROMイメージを吸い出したり書き込んだりできるオープンソース・オープンハードの装置である。いわゆるマ●コン的な使い方もできなくはないが、それでは明らかに効率が悪いので(身も蓋もない言い方だが全てのROMイメージはネット上にある)、自作のファミコンソフトを実機で動かしたいといったニッチな用途に向いている。

エミュでも十分だと思うでしょ? 相当枯れたハードとは言えエミュは完全ではない。特にファミコンのようにカートリッジが単なるストレージではなく、バンク切り替えやVRAM拡張、音源などを追加できるハードウェアであるため、そのハードウェアの種類(Mapperと呼称される)だけエミュレートが必要になる。それ以前に、ゲーム機のエミュレータは概してアーキテクチャの再現よりも既存のゲームソフトの再現性が優先される。事実、Nestopiaなどはゲーム毎にパッチをして無理矢理動作させている。したがって、自作プログラムで少しズレたことをやると結構エミュの再現度に引っかかってしまうのだ。コピープロテクトの範疇になるが、プログラムから実機とエミュを判別する方法はいくつかある。

GAMERniumのGMN-02-Aを組んでみる

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ということで、今回はGAMERniumのGMN-02-Aを購入した。
gamernium.com

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QuizChan on Nicolive を公開した

はじめに

2017/11/28追記 ユーザー生放送がHTML5版のみになったため、このスクリプトは使用できなくなりました。対応版はしばしお待ち下さい。それまでは「QuizChan on ブラウザ」をご利用ください。
2017/10/01追記--
本家のインターフェースに準拠した簡易バージョンを作成しました。ブラウザベースなのでインストール不要、Windows以外のOSやスマホからでも回答可能です。詳細は以下のリンクから。
eagle0wl.hatenadiary.jp
追記おわり--

クイズちゃんの操作にいつもモタついて苦い思いをしていたので、ニコニコ生放送専用プレイヤーにクイズちゃん回答用の入力フォームを拡張し、マウス操作不要でメッセージの"暗号化"からコメント投稿までを支援する、謎の実験場専用スクリプト『QuizChan on Nicolive』を公開した。
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インストール

『QuizChan on Nicolive』は、各種ブラウザ向けに提供されている拡張機能である Tampermonkey のユーザースクリプトとして動作する。

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ハッカー競技会/カンファレンス『SECCON2016決勝大会』に行った

ブログを2ヶ月も放置してしまった。

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2017/01/27-29に東京電機大学 北千住キャンパスで行われたハッカー競技会/カンファレンス『SECCON2016決勝大会』に行った。
2016.seccon.jp

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私はこういう人らしいです。

CTF(競技ハッキング)は世界中で行われているもので、その中でもラスベガスで開催されるDEF CONが最高峰とされている。SECCONの活動はCTFがメインだったのだが、今回は非IT業界向けのセッションやハンズオン、400人規模(!)で行われた初心者向けCTFなどが大幅に拡充され、幅広い層が参加していた(IoTワークショップには小学生が参加していた)。


週刊ビッグコミックスピリッツハッカーが登場する漫画『王様達のヴァイキング』の作者が登壇するセッションがフォーカスされていた。自分は裏のセッションを手伝っていたので見ることはできなかったが、女性の観覧者が多かったらしい。技術監修がついており、画面も攻撃のシナリオに沿ったものを作っているそうだ。なぜSECCONと『王様達のヴァイキング』が繋がったのかというと、去年のSECCONの全国大会の様子がテレビで放送された際の映像と王様~の一コマが酷似していたり、実際の出場者に酷似した人物が登場していることがSECCON参加者の間で話題となり、「直接取材に来てもらっていいのに」みたいな所から今回のゲスト登壇となったのだ。

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激安Arduino互換基板を買った

電子工作について。組み込み機器のプログラムを吸い出して、逆アセンブルして解析するような事を業務としてやったことはあったが、ArduinoRaspberry Piが生まれてからは電子工作自体のハードルがものすごく下がった。ソフトが書けてハードも分かるようになると、周囲の世界をコントロールできるようになる。

最近入手したパーツに関するメモを残す。

ATTINY85 Digispark

Arduinoはオープンハードウェアなので(Arduinoの名前は使えないが)玉石混交の互換品が多く存在する。その中でも、USBコネクタつき(重要)で恐らく最小の互換品はこれだろう。激安(183円)である。なんだこれは。しかし、この手の中華基板は完動する個体を引けるかどうかにかかっており、完全にバクチである。ということで4個買った。
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結論から言うと、今回動作確認できた個体は4個中1個だけだった。渋すぎる。USBコネクタに指すと、接続→接続解除が延々と繰り返される個体があったのでハズレだと思ったが、実はこれが当たりだった。他3つは通電確認用のLEDは点灯するが、unknown deviceとして認識されずプログラムを書き込めなかった。

コピー基板のさらにコピーともなると、今回調べた互換基板と動作が異なるかもしれない。今回はプログラムを書き込んでLチカまで確認した。

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