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伊東の「ニューカルチャーの聖地」まぼろし博覧会に行った 前編 ドローン飛ばした

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(↑この写真は昨年撮影したもの)

静岡県伊東にある『まぼろし博覧会』に行った。日帰りではなく2泊もである。
maboroshi.pandora.nu

8月13日~15日の期間限定イベントである、アホの祭典「真夏のキモ可愛い文化祭」に協力として参加したからである。なぜ自分が2泊もして協力しているかって? まぼろし博覧会の母体である出版社(特に社長)に世話になったことがあるからだ。

この前編のエントリではドローン飛行について記す。後編ではまぼろし博覧会の観覧記録を記したい。

ドローンを飛ばした

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私は、眼前に国会議事堂がある情報セキュリティ会社で、IoTセキュリティを研究していたことがある。その関連で、会社の備品であるドローンを触れる機会があった(もちろん空撮や産業用途ではなく、IoTセキュリティの対象としてだが)。と言っても、私はバイナリを読んだり組み込み機器向けのプログラムを開発したり、自動車セキュリティの診断に関わったことはあっても、ホビーとしてのラジコンマニアという訳ではないので、総フライト時間は微々たるもので、操縦技術は初心者レベルである。

ドローンに関しては、国会議事堂の近隣にある首相官邸にPhantom 3が落ちたのが2015年4月で、すでに産業用途として急速に普及しているので、特に目新しい話ではなくなっているが、一般レベルでは実物を見たことがない人もまだまだ多いはずだし、自分なりに試行錯誤した結果を後学のために記したいと思う。

DJI製ドローンのInspire 1(昨年)とPhantom 3(今回)を飛ばした

去年のゴールデンウィークに、まぼろし博覧会でドローンを飛ばして欲しいという要望を受けて空撮を行ったことがある。その時使ったドローンはDJIの『Inspire 1』。産業用クラスの高額なドローンである。
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(↑この写真は昨年撮影したもの。この敷地はもともと植物園だったそうだ)


これはもちろん個人で所有している訳ではなく、会社の備品の借り物である(一応保険はかけている)。これに先立って、仕事の都合でひとめぼれスタジアム宮城で練習する機会があったので、一応ぶっつけ本番ではない。とはいえ、性能に物を言わせているので、何も考えなくても安定して飛ばせるのはスゴい。都内だと飛ばせる所がないからなー、と思ったが最近墨田区に屋内練習場が出来たらしい。
news.livedoor.com

まぼろし博覧会で飛ばした際には、200グラム以上のドローンに適用される航空法を遵守している。
www.mlit.go.jp

Inspire 1とPhantom 3の比較

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(↑DJIのInspire 1)

昨年行ったInspire 1による空撮がまぼろし関係者で受けたらしいので、本格的にドローンを導入することになった。とはいえ、さすがに4Kとかはオーバースペックだし、高度な操作を行う必要もないし、頻繁に使うわけでもなく、予算の都合もあるので、手頃な価格になった『Phantom 3 Standard』を選定した。
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(↑Anbeeの専用ケースに収めたDJIのPhantom 3 Standard)

今回の夏休みに飛ばしたのはこれである。文化祭の期間は終始曇りがかかっており、スポット的に大雨が降るような天候だったので試験飛行は諦めていたが、朝方(営業時間外)にそこそこ日が指したのでテスト飛行を行った。

試運転レベルに過ぎないが、価格帯が全然違うInspire 1とPhantom 3 Standardを操作して気づいた点を記したい。

まず、普及価格帯の『Phantom 3 Standard』と『Phantom 3 Advanced』『Phantom 3 Professional』『Phantom 4シリーズ』とでは、値段が一回り以上違うし、本体機能以外で解りやすい所では送信機のボタン数に違いがある

機種のグレードに関わらず、リモコンに取り付けるモニタはスマホタブレットを流用することになるが、スマホの通知や通話機能は切った方がいい。ドローンを飛ばしている最中に通知が表示されるとイラつくし、電話がかかってきたら画面全部を取られることになると思われるからだ(未確認)。

Inspire 1用の送信機とスマホは有線(USB)で接続するが、Phantom 3の送信機とスマホは無線で接続する。無線になっているのはコストダウンと使用している周波数帯の違いによるものだと思うが、有線でなくなっているので信頼性は犠牲になっている。Inspire 1のスマホ画面は常にGoogleマップとドローンの現在位置が表示されており非常にわかりやすいが、Phantom 3のそれは簡素である。

Phantom 3 Standard用の送信機には、いざという時に使える「自動着陸」や「シャッターを切る」、「録画を始める/終了する」ボタンがついていない(Phantom 3 Advanced、Phantom 3 Professional、Phantom 4シリーズ、Inspire 1のそれにはある。しかし、一式の値段は倍以上違う)。その代わり、スマホ側にボタンが表示されるので、それをタップすることで本機にコマンドを送信できる。コスト削減のためなら仕方のないことだと思われるが、この仕様が致命的な問題となりうる場合がある。

操作中にDJIのアプリが落ちることがあるのだ。画面が見えなくなるだけならまだしも、Phantom 3 Standardの場合は「自動離陸」「自動着陸」ボタンなどの重要な機能が使えなくなるので、特に後者の操作が封じられると恐ろしい。だから、操縦者には自動操縦に頼らず帰還できるスキルが求められる。この事態を極力回避したいのであれば、いろんなメーカーから発売されているAndroid端末ではなく、アップルからしか発売されていないiPhoneiPadを用意するべきだと思う。

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(↑昨年Inspire 1で撮影した4K動画のキャプチャ。ウェブ公開にあたりサイズを落としている)

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(↑Phantom 3 Standardで撮影したHD動画のキャプチャ。ウェブ公開にあたりサイズを落としている。天気が悪く靄がかかっている)

カメラの品質について言えば、Inspire 1は4k、Phantom 3はHD画質(30fps/1200万画素、音声なし)だが、特にこだわりがないのであればHD画質で十分だと思う。ただし、Inspire 1については着陸に必要な足を離陸後に持ち上げることができるので(ランディングモード→トラベルモード)、カメラを360度パン(横方向の首振り)しても足が邪魔になることはない。しかし、Phantomシリーズは足が固定なので、チルト(上下方向の首振り)は問題ないが、足が邪魔になることがわかっているのでパンは本当に少しの角度しかできない。つまり、Phantomシリーズでパンをやりたければ、本体を旋回させろということである。

Inspire 1はカメラ操作の自由度が高いため、送信機を2台用意して一方を本体操作専用、もう一方をカメラ操作専用にすることができる。もちろん送信機1台でも本体とカメラを同時に操作できるが、ドローンを移動させながら建造物を常に捉え続けるような構図を取りたい場合は、2人で分担しないときついと思う(画像認識によるオートトラッキングもあるが)。ちなみに本体カメラにズーム機能はない。ジンバルによるブレの低減については、撮影した動画を見る限りでは性能差は感じられなかった。

Phantom 3 Standardではカメラ→スマホへの映像表示が安定しないことがあった。ドローンの操縦中は、本機に備え付けられているカメラの映像が手元のスマホに表示されるが、10秒以上遅れて表示されることもあった。天候があまりよくなかったかもしれないが、スマホとの相性問題が有力なようである。私は、メインのNexus 5XとサブのFreetel priori3で試したが、前者は屋内でのテスト段階では特に遅延は見られなかったが、外に出した所突然ペアリングができなくなってしまい、時間も差し迫っていたので後者に切り替えてモニタ代わりとしたが、こちらは遅延がひどかった。繰り返すが、安全確実が欲しければiPadを買え、ということらしい。Inspire 1の時はiPad miniを使用したが快適に動作した。

Phantom 3 Standardの送信機に関しては、右側のスティックを下に倒すとロックされてニュートラルに戻らない仕様がある。初めにInspire 1を操作した経験から、左スティックを右下に、右スティックを左下に倒し続けると手動で離着陸できることを知っていたが、「離陸するために右スティックを上に上げる」ことを忘れてしまい、離陸に失敗して本体が倒れてそれでもプロペラが回り続けて凶器と化してしまった。素直に「自動離陸」ボタンを押せばいいことなのだが。

ただ、仕様さえわかってしまえば、Inspire 1でやったことはほぼ違和感なく実行できた。もう少し高度なことをやりたいのだが、ひたすら練習するしかない。国土交通省に申請を出す場合、技量申請も必要となる。最低でも10時間以上のフライトが必要だし、GPSに頼らずに飛ばせることも求められる。落下するととても危険だから当然だろう。

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Phantom 3 Standard用の送信機に取り付けるスマホ台だが、基本セットについているやつは洗濯バサミのような簡素なものである。大きさから言ってスマホしか取り付けられず、タブレットは装着できない。タブレットに対応したモバイルデバイスホルダーはあるにはあるが、Phantom 3 Standard用の送信機には固定するべき穴がないので対応していない。

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(↑穴が空いていないので固定できない)

ウェブ上で調べた所、送信機に穴を開けてホルダーを固定する方法があったが、穴を開けなくても済む方法があったのでその方法を採用した。
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六角レンチで回し続けると、固定用のスクリューが外れるのでリモコンと接地するようになる。
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しかし、支えが一点しかないので左右にガタつく。スマホだったので大した問題ではなかったが、重量のあるタブレットになると補強の必要がある。やっぱりガムテで固定なのかなあ…。

ということで、これから始める方は少々値が張ってもPhantom 4シリーズをオススメしたい。値段には大きな開きがあるが、金で安全を買えると思えば安いはずである。

Parrot製ドローンMamboを飛ばした

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自腹で購入したおフランス製のドローンであるParrotのMamboは、いわゆるトイドローンである。200グラム未満のドローンは改正航空法の対象外であるため、中華製のドローン…というかマルチコプターは非常に多い。どれも非常に安いだけでなく、1万円帯でも写真や動画まで取れて送信機までついているものもある。こういった中華製の激安ドローンを尻目に、値段が少し高いParrot製のMamboを私は選択した。理由はいくつかある。

現行機種である

言うまでもないがサポートは重要である。スマホをモニタ代わりにして使うから、専用アプリも最新のスマホに対応してもらわないと困るし、本体ファームウェアのアップデートもあるので、最新版を提供してもらわないと困る。

本体が軽い

Mambo本体+プロペラガード+バッテリーの重量は、実測で69グラムである。日本では200グラム未満であれば模型飛行機と解釈されるので、Mamboは航空法の影響は受けない。Parrotのミニドローンはクアッドコプターとしては軽い部類に入る。軽いと何がいいのかというと、操縦ミスでぶつけたり墜落しても、自重が軽く壊れにくいので、練習に適しているのである。

セルフィードローンのような特化型のドローンだと法定重量ギリギリの199グラムを謳ってるものもある(絶対少しはオーバーしているだろう…)。ただセルフィードローンの場合、観光地で飛ばした途端にものすごい羽音がするので周囲の観光客はこっちを見るだろうし、セルフィー自体自己顕示欲の塊だから、好意的に受け止める人などいないだろう。

まともなバッテリーを使いたい

固定翼(飛行機型)のドローンであれば前に進めば浮く構造になっているため、ペイロードを稼げるのでガソリン駆動にも対応できるが、ガソリンを積んだらおもちゃとは言えないだろう。マルチコプターは基本的に電気で稼働する。もちろんリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池を周辺機器ではなく電子部品として買おうとしたら「簡単に発火、爆発します」と警告される。ある韓国製のスマートフォンも欠陥が見つかり、名指しで飛行機内の持ち込みが禁止された。スマホにもリチウムイオン電池が使われているが、それと同じ感覚で充電しようとすると痛い目を見ることがある。ノートPCのバッテリーなどもそうだが、まともなバッテリーであれば電源管理用のチップが内蔵されており、過充電などの対策がなされている。

しかし、やっすい模型飛行機だと、使い切ってから充電を開始する必要があったり、一度充電を開始したら満充電になるまで抜いてはいけないなどの制約があったりする。これは非常に不便である。実際、やっすいドローン用のリチウムイオン電池の充電に失敗して思いっきり膨らませたことがある。

SDKが公開されている

iOS/Androidアプリ用に制御できるAPIが公開されている。Mamboにも対応しているが、詳しく見ていないので、どの程度のものなのかはわからない。
github.com

Parrot製のドローンを操作した経験がある

ハイエンドなBebopと、Mamboの前バージョンとも言えるMinidrones Airborne Cargo Travisの両方を操作したことがある。Parrotを選択した理由としては、これが一番大きい。

とまあ、こんな感じである。Mambo+専用コントローラ+交換用プロペラ+互換バッテリーと充電ドック+キャリングケースで合わせて3万円弱である。

まず、専用コントローラは絶対に買ったほうがいい。スマホをコントローラ代わりにすることもできるが、指先の感覚でわかるスティック型のコントローラを使うべきである。ここはケチってはいけない。

本体セットには、7~9分程度フライトできるバッテリーが1セットだけなので、充電時間を考えると互換バッテリーも欲しい。私は互換バッテリー3個+3個同時に充電可能なドックを合わせて購入した。正直これがないと話にならないので買っておいたほうがいい。思ったより安かったが、今のところ不具合はない。

バッテリーの交換頻度が高いので、交換の都度ペアリングが必要になる。Wi-Fiだからスマホと本機が少し離れてもいいような気がするが、本当に目の前に近づけないとペアリングできないので、儀式だと思ったほうがいい。

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Mambo専用のキャリングケースもあるのでこれも買った。充電用のドックが入らないのでウレタンをカッターナイフで削った。

Mamboの限界を探るために、空撮の性能を試してみた。カメラは下向きに付いているが、トイカメラ程度の20万画素なので画質に関しては期待してはいけない。モニタ代わりのスマホからも、カメラからはどう見えているのかはわからない。したがって、しっかり被写体を捉えることができているかは、ドローン着地からのデータ転送を完了させるまで分からない。ウェブやSNSに載せるぐらいなら大丈夫ではないかというレベルだと思う。

Mamboでは動画は撮影できない。しかし、ジンバルがないとブレブレの動画になってしまい、動画作品の素材にはならないように思うので、動画が取れないことはデメリットではない、と考えることにした。

スマホアプリの設定から、高度の上限を25mまで引き上げることができるので、とにかく真上に上げてから撮影してみた。以下がMamboで撮影した写真。

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(↑高度5メートルからの撮影、写真の一部を加工済み)

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(↑上限となる高度25メートルからの撮影)

まあこんなもんじゃない? ということで。撮影時、Mamboは頭上付近にあるわけだが、これがInspire 1やPhantomシリーズだったら怖い。

Mamboには、トイドローンらしく、アタッチメントとしてBB弾を射出できる(連射はできない)CANNONや、公称では4グラムまでのものを掴んだり離したり出来るアームであるGRABBERが同梱されている。APIを駆使すれば、ハードウェアを自作してハンドリングできそうな気がするが、今後の研究課題としたい。

次はまぼろし博覧会を見に行った感想を書きたい。

筆者が実際に買った&使ったドローンへのリンク

DJI製品

DJI純正品は、高い買い物になるのでオンラインのDJI Storeか正規の取扱店舗から直接買ったほうがいい。Amazonは推奨しないのでリンクは貼らない。

DJI Store

store.dji.com

取扱店舗一覧

www.dji.com

収納ケース

Anbeeのリュックサック型のハードシェル。保存・運搬用にあると心強い。Phantom 3用。本体+送信機+予備バッテリー3個+αのスペースがある。容積を増やすためにはカッターナイフで一部を削ると良い。送信機のアンテナが当たりそうだったので削った。

Parrot製品

ParrotのドローンはAmazon以外にもヨドバシ・ドット・コムなどでも取り扱われているので、在庫がない場合は他を当たって欲しい。

互換バッテリー+充電用ドック

互換バッテリー3個と、一度に3個充電できる充電ドックのセット。これでローテーションしながら連続使用できる。

キャリングケース

リモコンも入る。充電バッテリーの収納スペースも4個ぶんある。充電用ドックを収めたい場合はウレタンを削る。