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映画『モータルコンバット』(字幕版/吹替版)ネタバレ感想

恐ろしいことに1年ぶりのブログ更新になってしまった。

映画『モータルコンバット』を観た。字幕版は封切り日(6/18)に、吹替版はGame*Sparkさんオンライン試写室(10/18)で視聴した。

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筆者の原作知識量

筆者のモータルコンバット知識は、リアルタイムで遊んだのはゲームボーイ版のモータルコンバット2、後にDS版のアルティメットモータルコンバット3、PSP版のUnchained(6作目)、PS3版のモータルコンバット9から本格的に再開。ただし格闘ゲームは上手くなく、オンライン対戦ではほぼ勝てない。情報サイトであるMortal Kombat SecretやMortal Kombat Wikiをよく読む。

ストーリー

ストーリーとしては、オープニングで真田広之演じる白井流忍者であるハンゾウ・ハサシ(没後スコーピオンとして冥界から復活)は、敵対組織に属する忍者ビ・ハン(=サブ・ゼロ)によって家族もろとも殺されてしまう。

時代は現代に移り、総合格闘家であるコール・ヤング(映画オリジナルキャラクター)はサブ・ゼロに狙われてしまうが、特殊部隊に属するソニア・ブレイドとジャックスに導かれて、地球界を守護する浅野忠信演じるライデンの寺院を訪れる。選ばれた戦士たちは特訓を積んでそれぞれ奥義を身につけ戦士として覚醒するが、並行してシャン・ツン率いる魔界の戦士達がモータルコンバットの掟を破り急襲を仕掛けるも、犠牲を出しながらそれを退ける。ラストではコールとサブ・ゼロとの一騎打ちとなるも力の差は歴然、サブ・ゼロが止めを刺そうとしたところにスコーピオンが現れ因縁の対決になる…という具合。

感想

ゲームの方は長らく日本版が発売されていないモータルコンバットだが、25年ぶりの再映画である。最新作である『モータルコンバット11』の売上は1200万本を突破しており、対戦格闘ゲームではスマブラに次ぐ勢力である(参考:スマブラSPは2000万本以上、鉄拳7は約700万本、ストVは約500万本)。しかし本作の持つグロ要素はCERO Zすら通過できないだろう(日本のレーティングはエロに優しくグロに厳しいというのが謎)。

ゲーム原作映画としてはトップクラスの完成度だと思う。ゲーム原作映画って本当にろくなものがなくて、成功例としてはポール・アンダーソン監督のバイオハザードぐらいだと思うのだが…(ただし主演女優と結婚する前の初期作品に限る)。そういえば25年前の映画『モータルコンバット』の監督もポール・アンダーソンだった。『ピクセル』も良かったが、あれはパックマン映画ではなくレトロアーケード映画だな。

ゲームを原作とした世界観やアクション、フェイタリティの再現度はものすごく、ゲーム原作映画としては十分合格点。ただ、吹替版ではクン・ラオやスコーピオンが発する、モータルコンバットを象徴する決め台詞「FLAWLESS VICTORY」「Get over here!」がそれぞれ「完璧な勝利だ(これは1995年映画と同じ翻訳)」「こっちへ来い!」に吹き替えられている。前者はいいとして、後者はちょっと残念。まあ、シリーズのほとんどが日本未発売で翻訳もされていないから仕方ないことなのだが…。

ハンゾウスコーピオン)役の真田広之はオープニングとラストのサブ・ゼロ戦で登場、いずれの登場シーンでもかっこいい殺陣を見せ、主役を食う構図になっている。しかし、(字幕版でも)日本語を喋っているはずなのに、字幕を見ないと聞き取れなかったぞ。人間界の戦士を守護するライデン役の浅野忠信は、常に目が白く光り続け、雷を撃ちまくりテレポートする浅野忠信が見られるというだけでも相当にレアだと思う。

ゲーム原作映画の中でも、ゲームの設定やストーリーを非常に尊重した作品だと感じた。もともとのモータルコンバットは、ストーリーや設定が非常に奥深いが、矛盾点も非常に多く、9作目からストーリーが仕切り直されているぐらいである。

ゲームのモータルコンバットを知らない人でもわかるように最低限の説明はされているが、いかにもゲーム映画然とした作りになっているので、ストーリーの忙しさや説明不足な部分を感じた。ゲームを良く知っていれば再現度の高さや芸の細かさを楽しめるが、そうでなければ、突然妙な高速移動や必殺技を使うキャラクターが出てきたり、ハンゾウだった人物が突然スコーピオンと名乗る理由がわからなかったりするので、状況が飲み込めないかもしれない。

筆者が遊んでいるモータルコンバット11で使用しているカバルが登場するのは嬉しかったが、吹替版ではカスレ声ではなかったぞ。レイコとかニタラといった、かなりマイナーなキャラまで出てきている。レイコ戦でピッツステージが再現されていたのが嬉しかった。

ほかの配役も、外見はみんなゲームに似ているしアクションも良く出来ている。邦画みたいに原作の設定をねじ曲げて配役側に寄せるようなことはしていない。重要な局面ではハンゾウスコーピオン)は日本語を話すし、サブ・ゼロは中国語を話す。拳法を使うクン・ラオ役のマックス・ファンって成家班(ジャッキー・チェン スタントチーム)出身なのね。動きがゲーム中の基本コンボそっくりだった。

ゲームはM17+(アメリカ基準)で、映画はR15(日本基準)なので、フェイタリティは比較的地味なものが使われるのと思ったが、思いっきりモータルコンバットXクオリティの画質で断面を見せるゴア表現で笑った。しかしフェイタリティを食らう側は魔界の住人ばかりである。そらそうだ。

惜しいのはサントラである。比較になってしまうが、95年版映画のサントラが非常に素晴らしいだけに、何か抜け落ちたものを感じる。エンドロール時にメインテーマのアレンジ版が流れるんですけどね。レプタイルのテーマも名曲だと思うけど本作では未使用。



最高すぎる95年版映画のテーマ曲



最高すぎる95年版映画のレプタイル戦でのテーマ曲


もともとのストーリーや設定が中二感満載なので、ロッテントマトの評価が低いのは当然だと思う。残虐格闘ゲームの映像作品にメインカルチャー的なものを期待するのは違うと思う。