ビデオゲームの歴史におけるEngrishな和製ゲームを紹介した『This be book bad translation, video game!』を入手、読了した。
This be book bad translation, video games!www.fangamer.com
jp.automaton.am
同書籍を作成したのは、ゲームの翻訳に関する海外サイト「Legends of Localization」のチームだ。同書籍では1970年代から今日までのビデオゲームの悪訳が集められており、全64ページに99枚のスクリーンショットが掲載されている。運営チームの設立者Toma氏はTwitter上でこの書籍に関し、単純に有名な悪訳を載せただけではないと説明。初期のゲーム開発では翻訳に予算が回されなかった時代背景から、近年散見されるようになった機械翻訳まで、誤った翻訳を歴史ごとに追っていく年代記になっていると伝えている。
本の概要やサンプルはAUTOMATONの記事を見て欲しい。ただし、今のところ入手経路がFangamerのみで、そもそも洋書である。AUTOMATONでは触れられていない、筆者が知る限りの背景情報を記してから本論に入りたい。
本書の背景
Just in case anyone sees the Polygon article and gets the wrong impression about the book, here's a comment from me pic.twitter.com/AD9vxfMSlg
— Mato (@ClydeMandelin) 2017年7月7日
本書を執筆した「Legends of Localization」の設立者であるClyde Mandelin(Tomato)は、日本語コンテンツの翻訳を行っている(日本語検定1級を持っており、我々より正しい日本語を使います)。プロフを見ると、日本のアニメ作品を北米で配信しているFUNimation(シン・ゴジラを北米で配給したのもここ)で翻訳業を行っているようだ。糸井重里が監修したロールプレイングゲーム『MOTHERシリーズ』(北米タイトル:Earthbound)の熱烈なファンであり、未だに日本語化されていない『MOTHER3』の非公式英語化パッチの制作にも関わっており、MOTHERシリーズのニュースサイトである「EarthBound Central」の管理人でもある。
earthboundcentral.com
本書を販売しているサイトFangamerの代表で、本書のアシスタントディレクターであるReid Young(Reidman)は、MOTHERシリーズの大ファンで、最大規模のファンサイトstarmen.netの設立者である。
jp.fangamer.com
STARMEN.NET - EarthBound / Mother 3 Goodness.
北米ではMOTHER2(EarthBound)しか発売されなかったにも関わらず、地道な活動を続け、ニコ生放送で糸井重里本人から「スターマンクラブ」と間違って呼ばれてしまい、ニコ生のコメントで訂正される一コマがあり、なんと糸井氏からわざと「STARMAN CLUB」と書いたサインを送られるという事態に発展。
www.youtube.com
earthboundcentral.com
さらにその後来日し、糸井氏との面会まで果たしてしまう。
gigazine.net
初代MOTHERの北米版(開発ROMは流出している)もWiiU版でようやく『MOTHER Beginnings』として正式に配信された。残るはMOTHER3なだけだが、MOTHER3の英語版が正式にリリースされたら目標喪失状態に陥るのでは? と勝手に心配している。余計なお世話か。余談だが、先月発売を発表した「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」の北米版にはMOTHER2の収録がアナウンスされているのに、日本版のリストにはないことが話題となった。任天堂は回答していないが、筆者は「北米では発売当時はワゴン、後年評価されてカートリッジの価格が高騰している」ことと、「starmen.netを中心とするファンコミュニティの熱心な活動」が少なからず影響していると考えている。
nlab.itmedia.co.jp
彼らは3.11の時もすぐさまチャリティゲームマラソンを行なっていたし、日本のゲームセンターに一時期投入されていたどせいさんのぬいぐるみ(もちろん国内限定)を大量に捕獲して、彼のチャリティを盛り上げるために大量に寄付したりと(返礼としてFangamerが取り扱う大量のグッズを戴いた)やり取りを重ねているので、Fangamer含めて信頼できる人である(注:本書は普通に買った)。